「暗い感じの人」と言われていた山口鴻志容疑者の不幸は、大学の研究室選びから始まったのか。
佐賀県鳥栖市で大塚千種さん(79)の頭をハンマーで何度も殴り、殺害した容疑で逮捕された山口鴻志(こうし)容疑者(25)。長崎大学薬学部の4年生である山口鴻志がなぜこんな凶行におよんだのか?山口鴻志容疑者の所属していた、長崎大薬学部での研究室生活から犯行の動機に迫ります。
山口鴻志(こうし)容疑者「ハンマーで79歳の頭を複数回殴打」
大塚千種さんがハンマーで殺害されたのは、佐賀県東部にある鳥栖市の自宅でした。都会から遠くはなれた、のどかな地域に暮らす大塚千種さん。自宅では夫と二人暮らしで、周辺は田んぼが広がる田舎町。まさに老後の隠居生活という言葉がぴったりの雰囲気です。
事件当時は自宅の庭で除草作業をしていたという大塚千種さん。大塚千種さんはハンマーで頭を複数回殴られ、頭の骨が折れるほどの重傷を負い間もなく死亡。殺人事件なんてものとは全く無縁だった、平和な田舎町で突如おきた事件は恐怖そのものです。
「外部の人が来ればすぐ分かるような、顔見知りとしかすれ違わない場所」74歳になる近所の女性はこう語ります。最近の都会では通り魔事件をよく耳にしますが、そもそも人すらまばらな地域に訪れて殺人を犯したのが、大学生の山口鴻志(こうし)容疑者でした。
山口鴻志容疑者は長崎大学薬学部に通う大学生。学年は4年生で年齢は25歳、住んでいるのも大学のある長崎市内のアパートで、事件のあった佐賀県鳥栖市とは直線距離で約80キロ。
山口鴻志容疑者が通っている長崎大薬学部の偏差値は57.5。平均で言えば高い偏差値で、学部は就職も手堅いと言われている薬学部。実際に卒業している学生の進路については、病院が5割を越え、企業の研究職に就く人も10%以上います。
一般的に言えば、エリートと言っても差し支えない大学に通っている山口鴻志容疑者。佐賀県の田舎で殺人事件を起こす理由など全く見当たりませんが、なぜこんな事件を起こしたのか?その動機を探るために、記事の続きでは山口鴻志容疑者の通う長崎大学について詳しく見ていきます。

山口鴻志(こうし)長崎大薬学部の研究室「医薬品情報学」
長崎大学の薬学部に通っている山口鴻志容疑者ですが、実際どこに通っているのか。長崎大学薬学部のホームページを調べたところ、山口鴻志容疑者が通っていたのは薬学部の「医薬品情報学分野」であることが判明しました。
こちらは長崎大学薬学部の検索結果ですが、医薬品情報学分野の研究室には山口鴻志容疑者の名前が書かれていました。さらに長崎大薬学部のホームページ上にも山口鴻志容疑者の名前が学年付きで載っており、山口鴻志容疑者の研究室が確定しました。
薬学部 医薬品情報学分野のホームページを確認したところ、なんとホームページ上の情報がほぼ全て削除されていることが判明しました。大学の研究室なので、研究内容はもちろん今まで発表した論文の内容など、ホームページ上に載せる情報はたくさんあります。
ホームページには研究室メンバーの名前なども公開していたからなのか、山口鴻志容疑者の逮捕が報じられた14日の時点で、研究室の情報は削除されていました。
しかし研究室の写真など、一部の情報はまだ残っていいたため記事の続きではそちらを紹介していきます。
山口鴻志(こうし)長崎大薬学部の研究室生活「和気あいあい」
山口鴻志容疑者が通っている、長崎大薬学部 医薬品情報学の研究室。大学の研究室としては珍しく、研究室と教授の仲が良かったようです。ホームページ上からは削除されてしまったものの、ネット上には研究室で行われたイベントの写真がいくつか残されていました。
これらのイベントが行われたのは山口鴻志容疑者が研究室に入るより前でした。しかしイベントは毎年のように行われており、山口鴻志容疑者が所属している時にも楽しげなイベントが企画されていたことは間違いないでしょう。
山口鴻志(こうし)容疑者ー長崎大学薬学部で行われた過去のイベント
- 2016.3.25 卒業式
- 2015.3.17 送別会
- 2013.3.15 お誕生日会
- 2012.8.28-29 阿蘇へ研究室旅行
- 2012.5.13 キス釣り

こちらは山口鴻志容疑者が写っていた研究室内の写真です。山口鴻志容疑者以外の人も多数写っている写真ですが、研究室にいる学生同士で「10年後の医療」をテーマに討論していたものと思われます。
恐らく研究室のゼミなのでしょうが、まるでバイト募集の写真のように、研究室の写真が撮られるのは実はけっこう珍しい。逮捕前の山口鴻志容疑者もこの輪の中に入って、仲間たちといっしょに薬学のテーマを議論していたのでしょう。

山口鴻志(こうし)長崎大薬学部の生活「独り言が多い」
長崎大薬学部ホームページの写真は他にも残されており、山口鴻志容疑者が写っていると思われる写真も見つかりました。一番左の人は女性なので、残り3人のうち1人が山口鴻志容疑者です。
偏差値の高い大学の研究室ですが、中にいる学生はとても和気あいあいとしている雰囲気が伝わってきます。山口鴻志容疑者が起こした事件の悲惨さとはギャップがすごい。この研究室にいる学生が事件を起こした、と聞いてもちょっと信じられそうにない。

しかし山口鴻志容疑者を知る人は、「山口鴻志容疑者は独り言が多かった」と語ります。匿名でネット上に寄せられたタレコミ情報から、研究室の楽し気な雰囲気とは全く合わない、山口鴻志容疑者の性格が見えてきます。
山口と同じ大学に通っています。私が知っている山口は昔から危ない人だなと思うような行動がありました。独り言がすごく多いんです。
実は少し前なのですが、偶然山口の独り言を聞いたことがあります。「〇×す、〇×す、〇×す」とよく聞き取れなかったんですが、今思えばあれは「〇す」か「燃やす」だったんじゃないかと思って鳥肌が立っています。

山口鴻志(こうし)容疑者の不可解な行動と発言
佐賀県で起こした事件でも、山口鴻志容疑者の言動にはおかしな点が目立ちます。事件前日、山口鴻志容疑者はなんと自宅アパートを放火。山口鴻志容疑者はその後も長崎市には戻ってこず、殺人事件とは別に長崎県警が山口鴻志容疑者の行方を追っていたところでした。
山口鴻志容疑者の行動 9月9日
- 長崎市内の自宅アパートを放火
- 長崎市から福岡市に電車で移動
- 福岡市内のホテルで宿泊
山口鴻志容疑者の行動 9月10日
- タクシーと徒歩を使って佐賀県鳥栖市の民家に向かう
- (午後1時ごろ)佐賀県鳥栖市の自宅庭で大塚千種さん(79)を殺害
- 電車で大分県に入る

山口鴻志容疑者の供述にも、不審な点がいくつもあります。ハンマーで頭を殴るという犯行をしておきながら「死んだかもしれない」と供述する山口鴻志容疑者。本来あるべき常識が、山口鴻志容疑者には完全に欠けていたとしか思えません。
山口鴻志(こうし)の発言内容
- 「鳥栖市内の民家の庭で、高齢女性の頭をハンマーで複数回殴った。死んだかもしれないので、とんでもないことをしてしまった」
- 「ハンマーで頭を殴れば殺してしまうかもしれないと思ったが、確定的な殺意まではなかった」
- 「殺せる人を探していた」
- 犯行現場の佐賀県鳥栖市について:「初めて訪れた」
- 犯行後に向かった大分県について:「縁もゆかりもないが、昔行ったことがある」

山口鴻志(こうし)長崎大薬学部「研究生活のストレスで逃亡か」
意味不明の言動を続ける山口鴻志容疑者。研究室の写真から伝わってくる、明るい人物像とはやはり程遠いイメージ。山口鴻志容疑者を知る人は次のように語りますが、性格は「暗い感じの人」とのこと。山口鴻志容疑者が、研究室のイベントごとを楽しんでいたとはとても思えません。
「もともと暗い感じの人ではあったんですけど、キャンパスの中ではあまり目立たない感じで印象にない感じ」(山口鴻志容疑者を知る長崎大学の学生)

自宅アパートを放火したあとは、目的もなくふらふらとさまよっていた山口鴻志容疑者。犯行後はほとんど土地勘のない大分県にまで足を運んでいますが、その行動はまるで糸が切れたタコのよう。仕事に疲れたサラリーマンが、ある日会社をボイコットして旅行に行ったような行動です。
もともとは暗い性格だった山口鴻志容疑者。一方で通っていた長崎大の研究室にはいい人が揃い、研究はもちろん和気あいあいとしたイベントを楽しんでいた。山口鴻志容疑者と研究室の雰囲気には大きなギャップがあり、そのことが山口鴻志容疑者のストレスになっていた事も考えられます。
偏差値の高い薬学部に通っているということで、親兄弟から期待されるストレスもあったことでしょう。「皆いい人ばかりだけど、俺には合わない」そんな気持ちを抱えながら過ごしていた研究室での毎日が、山口鴻志容疑者をだんだんとおかしな風にしていったのでしょう。

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